
リノベーションマンションは、「新築より安く」「内装は最新」といった魅力から、多くの人に選ばれる住宅選択肢の一つです。
しかし、その裏側には見逃せないデメリットやリスクが潜んでいることも事実です。築年数の古さに伴う構造的な不安や、見た目は新しくても内部に老朽化が残っている可能性など、表面的な情報だけでは分からない注意点が多数存在します。
本記事では、リノベーションマンションの購入を検討する方に向けて、具体的なデメリットとその対処法、メリットと安全な選び方までを詳しく解説します。失敗しないために知っておくべき知識を、専門的な視点からわかりやすくまとめましたので、最後までお読みください。
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目次
リノベーションマンションのデメリットを理解するために、まずはリノベーションの基本を知ろう
リノベーション物件とは何か?
リノベーションマンションという言葉を耳にすることが増えていますが、その実態を正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。
住宅購入を検討する上で、この「リノベーション」という言葉の意味を曖昧なままにしてしまうと、見た目や価格だけで判断し、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。
そもそもリノベーションとは、中古の住宅やマンションに対して、単なる修繕ではなく、間取りや設備を一新し、機能やデザイン性を現代のライフスタイルに合わせて向上させる工事を指します。たとえば、昔ながらの独立キッチンをアイランド型に変えたり、狭かった浴室を広げたりと、住まいの使い勝手や快適さを根本から改善するのが特徴です。
リノベーションマンションを選ぶ際には、「見た目の美しさ」だけでなく、「構造的な性能」や「工事範囲の実態」にも注目し、総合的に判断する視点が欠かせません。新築との違いを正確に理解したうえで、価値ある物件選びを目指しましょう。
リノベーションマンションの主なリノベーション範囲
リノベーションマンションの魅力のひとつは、「新築のような美しい内装を、より手頃な価格で手に入れられる」という点です。しかし、その裏側には、どこまでの範囲が実際にリノベーションされているのかという重要なポイントがあります。見た目が美しいだけで、内側は築30年のまま、というケースも少なくないのです。
リノベーションの範囲は、物件によって大きく異なります。たとえば、フルリノベーションと呼ばれるものは、天井・床・壁だけでなく、水回りの配管、電気配線、断熱材まで含めて全面的に改修が行われるケースです。このような物件では、住まいとしての基本的な性能が大きく向上しており、長期的な安心感を得ることができます。
一方で、表面的な部分だけを一新する「表層リノベーション」も数多く流通しています。これには、壁紙の張り替えや床材の交換、キッチンや浴室設備の入れ替えなどが含まれます。
リノベーションの範囲を正確に把握することは、購入後の満足度を左右する重要な要素です。
「新しく見えるから大丈夫」と安易に判断するのではなく、「どこまで更新されているのか」「手つかずの部分はどこか」を具体的に確認しておくことが、後悔のない物件選びにつながります。
リノベーションマンションの4つのデメリット
1. 耐震基準が古い可能性がある
日本は地震大国であり、住宅選びにおいて「耐震性」は最も重要な基準のひとつです。しかし、リノベーションマンションの多くは築年数が古く、1981年以前に建築された旧耐震基準の建物が少なくありません。見た目がいくら新しくても、建物全体の耐震性能が不足していれば、災害時の安全性に大きな不安が残ります。
旧耐震基準の建物は震度5程度を想定して設計されており、阪神淡路大震災や東日本大震災クラスの揺れには耐えられない可能性が高いのです。しかも、リノベーション工事では内装や設備が中心であり、構造体の補強はコストや工事規模の面から行われていないことが一般的です。
購入を検討している物件が旧耐震基準に該当する場合は、「耐震診断を実施済みか」「耐震補強工事が行われているか」を必ず確認しましょう。万が一、証明書類や記録が提示できない場合は、再検討も視野に入れるべきです。
2. 電気容量が現代基準に合っていない場合がある
現代の生活は、以前とは比較にならないほど多くの電化製品に囲まれています。エアコン、IHコンロ、食洗機、浴室乾燥機、スマート家電など、1家庭あたりの電気使用量は年々増加しています。
しかし、築年数の古いマンションでは、当時の暮らしを前提とした電気容量で設計されており、現在の電気需要を十分に賄えないことがあります。
ここで出る問題を未然に防ぐには、電気容量が何アンペアに設定されているのか、電気配線は新しくなっているのか、分電盤の容量増設が可能かなど、購入前に管理会社や施工業者に詳細を確認することが重要です。
3. 断熱性が低く光熱費がかさむケースも
見た目がどんなに美しくても、住宅としての快適性を大きく左右するのが「断熱性能」です。
築年数の古いマンションでは、断熱材が使用されていなかったり、窓が単板ガラスのままだったりと、断熱性に欠ける仕様である場合が非常に多いです。こうした物件では、夏は暑く冬は寒いという温熱環境になりやすく、冷暖房効率が著しく悪化します。
その結果として、エアコンを使ってもなかなか室温が安定せず、冷暖房を長時間使用することになり、月々の光熱費がかさんでしまうという不満が発生します。
4. 見えない老朽部分の不具合リスクがある
リノベーションマンションの最大の落とし穴のひとつは、目に見えない部分に潜む老朽化のリスクです。たとえば、壁の中にある給排水管、床下の木材、電気配線などは、内装がどれだけ美しく仕上げられていても、古いまま残されているケースが少なくありません。
これらの部分に劣化があると、入居後に水漏れ、配管の詰まり、漏電といったトラブルが発生し、再び高額な修繕費用が必要になる可能性があります。しかも、表層リノベーションでは工事範囲が限られるため、こうした「隠れた問題」は施工段階でも見落とされていることがあります。
リノベーションマンションのデメリットが出やすい物件の特徴
築年数が古く構造に不安がある物件は要注意
リノベーションマンションを選ぶうえで見落としがちなポイントのひとつが、「築年数による構造上の不安」です。外観や内装がきれいに整っていると、築40年、50年といった情報もあまり気にならなくなるかもしれません。しかし、建物の寿命は見た目で判断できるものではなく、構造体の劣化が進行している可能性も高いため、築年数は購入判断において極めて重要な要素です。
特に、築年数が40年以上経過しているマンションの場合、鉄筋コンクリートの中性化や鉄骨の腐食、基礎部分のひび割れといった深刻な劣化が発生している可能性があります。
築年数だけでなく、「建物の維持管理状況」や「修繕履歴」、「長期修繕計画の有無」といった管理面の情報も含めて確認することが必要です。さらに、構造部分の補修や補強が行われているか、または今後の予定があるかどうかも大切なチェックポイントです。
リノベーション範囲が部分的なケースも多い
リノベーションマンションの中には、「表面だけをきれいにしただけ」の物件が数多く存在します。これらは一見すると魅力的に見えるかもしれませんが、よくよく確認するとリノベーション範囲が極めて限定的であり、購入後に思わぬ不便や修繕費用の負担に直面するリスクがあります。
たとえば、壁紙の張り替えやフローリングの交換だけが行われているケースでは、内部の配管や電気設備、断熱材などはそのままになっていることが一般的です。こうした物件では、見た目には新しくなっていても、内部の老朽化が進んでおり、数年以内に大規模な修繕が必要になる可能性が高いのです。
さらに、水回り設備の入れ替えだけをもって「フルリノベーション」と謳っているようなケースもあります。設備交換だけでは、給水・排水管の状態までは改善されていないこともあり、結果として水漏れや詰まりなどのトラブルを招くことがあります。
このような事態を防ぐためには、物件選びの段階で「リノベーション工事の範囲」を詳細に確認することが欠かせません。具体的には、施工箇所・使用された資材・更新された設備の一覧・配管や電気系統への対応などを記載した工事報告書の提示を求めることが重要です。可能であれば、現場担当者と直接会い、どのような工程が行われたかを聞くことで、信頼性も判断できます。
リノベーションマンションのデメリットを補う購入前の確認ポイント
リノベーションの施工範囲と費用を詳細に確認する
リノベーションマンションは「新築同様の美しさ」が手頃な価格で手に入ることから、魅力的な選択肢に映ります。しかし、見た目だけで判断してしまうと、後に「ここまでしか工事していなかったのか」と後悔するケースも少なくありません。
特に注意が必要なのが、施工の範囲とその内容です。
実際のところ、リノベーション物件の中には施工範囲が非常に限定的なケースもあります。たとえば、キッチンやトイレなどの水回りだけを新調し、壁紙と床材を交換する程度の「表層リフォーム」であるにもかかわらず、「フルリノベーション」として販売されていることもあります。これでは、築年数による劣化が進んだ配管・電気系統・断熱材・構造体など、見えない部分が手付かずのまま残されることになります。
このような物件を見抜くためには、施工範囲を具体的に記載した「工事報告書」や「図面」を確認することが必要です。
また、工事費用の妥当性にも注目しましょう。物件価格の中にリノベーション費用が含まれている場合でも、その内訳が不透明だと、本当に必要な工事が行われているのか判断できません。複数のリノベーション物件を比較する中で、「似たような仕様なのに価格に大きな差がある」という場合は、施工範囲や品質に違いがある可能性が高いです。
購入後に追加費用が発生しないよう、施工範囲と費用の妥当性を事前に細かくチェックすることが、安心して暮らすための第一歩となります。
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耐震基準や住宅保証の有無をチェック
安全性の確保は、住宅購入における最優先事項のひとつです。どんなに内装が洗練されていても、耐震性に問題があれば、万が一の災害時に命を守ることができません。
耐震性を判断するには、建物が「新耐震基準(1981年6月以降の基準)」に基づいて建築されているかどうかを確認することが第一です。
新耐震基準に該当していたとしても、実際の建物の状態が劣化していたり、地盤や構造に問題がある場合もあるため、「耐震診断の実施状況」「補強工事の履歴」も併せて確認する必要があります。
加えて、購入後の万一に備えて「住宅瑕疵保険」や「リノベーション工事の保証」が付いているかどうかも、非常に重要な確認ポイントです。
アフターサービスや設備保証の内容を把握
リノベーション済みマンションの中には、キッチン、浴室、トイレなどの住宅設備がすべて新品に交換されている物件も多くあります。これ自体は大きなメリットですが、設備の初期不良や施工ミスが後から発覚するケースもあるため、アフターサービスと保証の内容を事前に確認しておくことが不可欠です。
また、万が一の際にどのような対応が取られるのか、たとえば「連絡後、何日以内に現地調査を行うか」「修理費はどこまで無料か」など、保証内容の具体的な条件を事前に説明してもらうことが大切です。
加えて、管理会社や施工業者の評判や口コミ、過去のトラブル履歴などを事前に調査しておくことで、実際の対応力や信頼性をある程度見極めることも可能です。特に、購入後に急に連絡がつかなくなるような業者を選んでしまうと、どんなに保証が記載されていても意味を持たなくなります。
リノベーションマンションのデメリットと向き合いながらも得られるメリット
新築よりもリーズナブルな価格で購入できる
住宅購入において、もっとも現実的な課題の一つが「価格」です。都市部では特に、新築マンションの価格が高騰し続けており、予算内で希望のエリアに住まいを構えることが年々難しくなっています。そんな中、リノベーションマンションは、購入費用を抑えながらも一定のクオリティを手に入れられる選択肢として注目されています。
リノベーションマンションは、ベースが中古物件であるため、新築と比べて販売価格が2割〜4割程度安くなるケースも珍しくありません。たとえば、新築マンションが5000万円を超えるエリアであっても、同等の立地・広さで4000万円以下で購入できる物件が見つかる可能性があります。この価格差は非常に大きく、住宅ローンの月々の返済額や返済期間に大きな影響を与えます。
立地が良く、即入居できる物件が多い
住まいの価値は、建物そのものだけでなく「立地条件」によっても大きく左右されます。
どれだけ美しい住宅でも、最寄駅まで遠かったり、日常の買い物に不便な場所では暮らしの質が下がってしまいます。
そもそも中古マンションの多くは、1970年代〜1990年代にかけて開発が進んだ「駅近」「商業施設が充実」「教育機関が整備された」都市部や住宅街に位置していることが多く、利便性が高いエリアに豊富に分布しています。これに対し、新築マンションは土地取得のコストや開発制限などの影響で、郊外ややや不便な場所に建てられることが増えています。
さらに、リノベーション済みマンションは既に工事が完了しているため、契約後すぐに入居できるというメリットもあります。
転勤や出産、子どもの進学など、ライフイベントのタイミングに合わせて「すぐに住める家が必要」という場合には、リノベーション済みマンションが非常に有効な選択肢となります。
デザイン性や設備面の新しさは魅力
リノベーションマンションのもうひとつの大きな利点は、「自分ではなかなか実現できないデザインや設備が、あらかじめ整っている」という点にあります。特に、インテリアのセンスやリノベーション設計に自信がない方にとっては、プロが手掛けた内装はそのまま住めるクオリティの高さがあります。
リノベーション済み物件であっても「築古住宅を買った」という感覚はなく、「まるで新築のような新鮮な生活」をスタートさせることができます。
時間や費用の都合で「自分でフルリノベーションをするのは難しい」という人にとって、完成された快適な空間がすぐに手に入るのは大きな利点です。
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リノベーションマンションのデメリットを理解した上でおすすめの選び方
適合リノベーション住宅を選ぶことで安心度が増す
リノベーションマンションの購入に際して、「どの物件を選べば失敗しないか」という問いは、多くの人が抱える不安です。その中で、もっとも明確な“安心の指標”の一つとなるのが、「適合リノベーション住宅」の認定を受けているかどうかという点です。
適合リノベーション住宅とは、国交省のガイドラインに基づいた一定の品質基準を満たしている住宅のことを指し、一般社団法人リノベーション協議会などが認定しています。この認定を受けるには、構造・設備・配管などの更新が一定以上の水準で行われていること、瑕疵保険が付保されていること、第三者機関による検査をクリアしていることなど、いくつもの条件を満たさなければなりません。
これにより、「見た目はキレイだけど中身はボロボロ」というような表層的リノベ物件を避ける手がかりになります。
判断に迷った際は、「適合リノベーション住宅」から物件探しを始めることで、大きな失敗のリスクを避けやすくなります。
修繕積立金や共有部分の管理状況も確認
リノベーションマンションを購入する際に見落としがちですが、非常に重要なのが「マンション全体の管理状況」、とくに「修繕積立金の額と使用履歴」「共用部分の維持状態」です。どれだけ専有部分がきれいにリノベーションされていても、マンションの資産価値や居住の快適性を左右するのは、むしろ共有部分の状態です。
たとえば、エントランス、エレベーター、外壁、屋上、給排水管などの共用部分は、住人全体で維持・管理していくことになります。ここが老朽化していたり、メンテナンスが後手に回っていたりすると、将来的に大規模修繕が必要になり、その費用が一斉に住人へと請求されることになります。
修繕積立金が安く設定されている物件は一見魅力的に感じるかもしれませんが、実はそれが将来の“爆弾”になりかねません。
具体的なチェックポイントとしては、以下のような資料を確認することが有効です。
- 長期修繕計画が作成されているか
- 管理費・修繕積立金の使途明細と過去の実施状況
- 定期的な理事会や総会が開催されているか
- 清掃やゴミ出しルールなど、日常の管理体制が整っているか
これらの情報は、仲介業者や管理会社に問い合わせることで確認可能です。
まとめ
リノベーションマンションは、新築よりも手頃な価格でありながら、現代的な内装や設備を備えている点が魅力です。
しかしその一方で、耐震性や電気容量、配管の老朽化など、表面からは見えにくいリスクが潜んでいることもまた事実です。購入後に後悔しないためには、これらの「見えにくいデメリット」を事前に正しく把握することが欠かせません。
理想の住まいとは、「安心して長く暮らせる家」であり、「暮らしやすさと資産性が両立している家」です。
リノベーションマンションは、その理想を叶えるための有力な選択肢になり得ます。
今回の記事をしっかりとお読みいただき、リノベーションマンションのデメリットを正しく把握し、自分の価値観とライフスタイルに合った物件を見極めることで、後悔のない住宅購入を実現しましょう。
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