HOPE STYLEスタッフコラム中古マンション買うなら築何年が正解か価格や寿命や耐震性の視点から解説

スタッフコラム

2025.06.07

中古マンション買うなら築何年が正解か価格や寿命や耐震性の視点から解説

中古マンションを購入しようと考えたとき、最も悩むポイントのひとつが「築年数」です。「築浅のほうが安心?」それとも「築古でもリノベーションすれば大丈夫?」など、多くの人が築年数と価格、耐震性、将来性などのバランスに頭を悩ませます。実際、築年数によって資産価値やローン条件、居住性は大きく変わるため、築何年の物件を選ぶべきかの判断は極めて重要です。

本記事では、「中古マンション買うなら築何年が正解か?」という疑問に対し、価格推移、資産性、管理状況、耐震性、寿命、ローン条件など多角的な視点からわかりやすく解説します。これからマンションを購入しようとする方が、後悔しない選択をするための知識と判断基準をお届けします。

目次

中古マンション買うなら築何年?価格と築年数の関係を理解しよう

2022年に成約した中古マンションの平均築年数は「23.33年」

中古マンションを購入する際、築年数は価格に大きな影響を与える重要な指標です。中でも注目すべきは、2022年における中古マンションの平均成約築年数が「23.33年」であったという事実です。これは多くの消費者が築20年前後の物件を選んでいることを示しており、築浅にこだわらない実需志向の高まりがうかがえます。

この背景には、新築マンションの価格高騰があります。都心部では新築マンションの平均価格が1億円に迫るケースも増えており、一般の購入者にとっては手が届きにくい存在になっています。そこで、「築20年以上でもしっかりと管理されている中古マンション」に目を向ける人が増えているのです。

例えば、築23年の中古マンションであっても、管理状態が良好で大規模修繕工事が計画通りに行われていれば、快適な住環境は十分に保たれます。新築に比べて価格が3~4割下がるケースもあり、資金的な余裕を確保した上で暮らしの質も維持できるのです。

つまり、現在の住宅市場では、築年数だけで価値を判断する時代ではなくなってきているのです。「築23.33年」という数字は、まさにその価値観の変化を象徴しています。

築20年はマンション価格が底値になるタイミング

中古マンションの価格は築年数とともに下がる傾向がありますが、築20年前後でその下落は一旦落ち着くといわれています。この時期は「価格が底を打ち、安定するタイミング」であり、コストパフォーマンスに優れた購入時期といえるでしょう。

新築から10年ほど経つと、マンション価格は大きく下がり始めます。これは「中古物件」としての評価が定まるためです。そして築20年に達するころには、償却も一段落し、市場価格も安定帯に入ります。これは「値下がりリスクが小さくなるタイミング」としても注目されています。

たとえば、築19年と築21年の2つの同じマンションがある場合、価格に大きな差はほとんど見られず、どちらも市場価値が横ばいになる傾向にあります。このため、「築20年」は価格的にお得なラインでありつつも、住み心地や管理状態の良さを見極めれば、非常に賢い選択となるのです。

さらに、このタイミングでは修繕積立金がある程度貯まっており、1回目または2回目の大規模修繕が完了している可能性が高いため、修繕に関する安心材料も揃っているのが特徴です。そうした意味でも、築20年は「買って後悔しにくい」年数といえるのです。

中古マンションの購入意向度が高まった理由とは?

ここ数年で中古マンション市場の注目度は格段に上がっています。その要因は一つではなく、経済的、社会的、技術的な背景が複合的に関係しています。特に、コロナ禍以降のライフスタイルの変化が大きな引き金になりました。

第一に、新築マンション価格の高騰が大きなインパクトを与えました。住宅価格の上昇は、物価全体の上昇や建設コストの増加に起因しています。特に資材や人件費の上昇が著しく、新築物件の価格は一般の所得層からは手の届きにくいものになってきました。

一方で中古マンションは、築年数が進んでいる分、価格が抑えられており、同じ立地でも広さや環境面で優れた物件が手に入りやすいというメリットがあります。たとえば、東京都心では新築よりも10〜20㎡広い中古マンションが、同じ価格で購入できることもあります。

また、リノベーションの自由度が高まってきたことも、中古マンション人気の理由の一つです。「中古+リノベ」という新しい住宅購入スタイルが一般化し、住空間を自分好みにカスタマイズしたい層から強い支持を受けています。

さらに、最近では住宅ローンの条件も改善されつつあり、金利も比較的安定しています。その結果として、「新築よりも賢く選ぶ中古」という選択肢が、現実的かつ魅力的になってきたのです。

このような背景から、中古マンションに対する購入意向度が着実に上昇しています。「築年数が古い=価値が低い」という先入観を捨て、柔軟に物件を選ぶことが、これからの住宅選びの新常識になるかもしれません。

中古マンション買うなら築何年?築年数ごとの資産価値の違い

立地や管理状態によって資産性が維持されるケースも

中古マンションにおいて「築年数が進めば価値は落ちる」と思われがちですが、実際にはそう単純な話ではありません。築年数が進んでも、資産価値を維持し続けているマンションは数多く存在します。その主な要因は「立地」と「管理状態」です。

まず、立地の良さは不動の価値を持っています。たとえば、都心の駅近、利便性の高い商業エリア、学区が優れている地域などでは、築30年以上の物件でも高値で取引されている例が多く見られます。交通の便が良く、周辺施設が充実している地域は将来的にもニーズがなくなることが少なく、「築年数」に対する市場の厳しさが緩和される傾向があります。

さらに、マンションの資産価値は「管理の質」でも大きく左右されます。例えば、築25年の物件であっても、共用部が清潔に保たれ、定期的な修繕計画が実施されているマンションは、内覧者の印象も良く、評価が高まります。逆に築10年でも管理が行き届いていなければ、すぐに資産価値が下がってしまうこともあります。

実際に不動産業界でも、査定時には築年数よりも「管理状況に関する資料」や「修繕積立金の運用実績」が重視されることがあります。つまり、「築古=価値が低い」という先入観を捨て、個別のマンションの状態を丁寧に見ていくことで、資産として価値のある中古マンションを見極めることが可能です。

このように、築年数だけで物件の価値を判断せず、「立地と管理状態」を軸に判断することが、後悔のない中古マンション選びの第一歩となるのです。

築20年を過ぎると価格は横ばいになりやすい

マンション価格は一般的に、築年数が経過するごとにゆるやかに下落していきますが、築20年を過ぎたあたりから価格の変動が落ち着く傾向があります。これには、経済的・心理的な要因が絡んでおり、多くの専門家も「築20年あたりが価格の底」と位置付けています。

築1年から10年程度の間は、価格の下落が比較的大きく、新築プレミアムと呼ばれる価格上乗せ分が一気に剥がれ落ちます。そして築15年程度になると、建物の価値が「中古」として定着し、価格の下落ペースは緩やかになります。そして、築20年を過ぎると多くの物件が「価格帯の安定ゾーン」に入り、相場の変動が非常に小さくなります。

その背景には、築20年を超えた物件は「買い手側の選別眼」によって精査されるという点があります。購入検討者は価格だけでなく、管理状態・修繕履歴・住環境などを重視し、価格が見合ったものであれば築年数に大きくこだわらない傾向があります。つまり、築20年以降の物件は「値段で選ばれる」のではなく、「総合評価で選ばれる」ステージに入るのです。

例えば、同じエリアで築18年と築22年の物件があった場合、価格の差はほとんどないか、場合によっては築22年の方が管理状態の良さなどから高値がつくケースもあります。ここに、中古マンション市場の成熟が表れているのです。

このように、築20年を超えた物件は価格が下がりきっている分、安定した資産として保有しやすく、将来的に大きな値下がりのリスクが少ないという利点があります。資産価値を重視して購入するのであれば、築20年以降の物件は非常に有力な選択肢と言えるでしょう。

築年数ごとの中古マンションの特徴を把握しよう

築10年:新築に近い状態で人気も高い

築10年以内の中古マンションは、いわば「ほぼ新築」といえる状態にあり、設備や建物の劣化も少なく、購入希望者の人気が非常に高いカテゴリに位置しています。実際、築10年以内の物件は市場に出てもすぐに売れることが多く、需要が供給を上回るエリアも少なくありません。

この築年数の魅力は何といっても「安心感」です。まだ1回目の大規模修繕が行われる前後であることが多く、修繕積立金も比較的低く抑えられている場合が多いため、ランニングコスト面でも優れています。また、設備や内装が新しいため、入居後すぐに大きなリフォームが不要で、引っ越し後の初期費用も抑えられます。

一方で、築浅物件は価格が高止まりしている傾向があるため、予算とのバランスを慎重に見極める必要があります。新築物件と比較して価格差が少ないケースでは、「あえて中古を選ぶ理由」が薄れてしまうこともあるため、冷静な判断が求められます。

購入検討者としては、築10年以内の物件を選ぶ際には「立地と管理状態が伴っているか」を確認し、割高感がないかを見極めることが重要です。新しさと安心感を求める人にとっては、非常に魅力的な選択肢であることに間違いはありません。

築20年:コスパ重視の選択肢として最適

築20年の中古マンションは、価格・状態・資産価値のバランスが非常に良い「狙い目」といえる築年数です。新築から年月が経つことで価格は大幅に下がりますが、建物自体はまだ十分に使える状態であり、コストパフォーマンスに優れた選択肢として注目されています。

この時期の物件は、多くの場合1回目の大規模修繕が完了しており、共用部の劣化や設備の更新も済んでいることが多いため、安心して住める環境が整っています。また、築20年を超えると価格の下落は穏やかになり、将来の資産価値の変動リスクも比較的小さい点もポイントです。

例えば、同じエリアで築10年のマンションと築20年のマンションが並んでいる場合、価格差は20〜30%ほど開くことがあります。その差額を活用して、室内のリフォームや設備交換に予算を回せば、より快適な住まいを手に入れることも可能です。

ただし、築20年の物件を選ぶ際は、過去の修繕履歴や今後の修繕計画をしっかりと確認することが重要です。特に、積立金が不足していたり、管理がずさんな物件は避けるべきです。条件の良い物件に出会えれば、「価格と質」のバランスに優れた買い物ができるでしょう。

築30年:リノベーション前提で検討されやすい

築30年のマンションになると、室内設備や外観、構造部材の劣化が目立つようになり、そのままの状態では住みづらいケースも増えてきます。しかし、これは逆に「リノベーション前提で自由に住空間を設計できる」という大きなメリットにもつながります。

価格が大幅に下がるため、物件購入費用を抑えて、その分リノベーションに投資するという発想は、若年層やデザイン志向の強い層に特に人気があります。たとえば、築30年の中古マンションを2,000万円で購入し、800万円かけてフルリノベーションを行えば、同じエリアの新築3,500万円相当の物件と同等、あるいはそれ以上の住空間が実現できます。

また、築30年の物件は多くが「団地型」や「広い専有面積」を持っていることが多く、間取り変更などの自由度も高い傾向にあります。構造によっては、スケルトンリフォームも可能で、自分好みに完全カスタマイズした住まいをつくることができます。

ただし、リノベーションには技術的制約や追加費用が発生することもあるため、購入前に建物の構造や設備の状態を詳細に確認し、プロのリノベーション会社と連携して進めることが成功の鍵となります。

築30年のマンションは、価格的な魅力と自由な住まいづくりの両方を実現できる選択肢です。自分らしい暮らしを手に入れたい人にとって、理想的な選択肢となるでしょう。

中古マンション買うなら築何年?耐震性の確認は最重要ポイント

旧耐震と新耐震の違いを知ろう

中古マンションを購入する際に、最も重要なチェックポイントのひとつが「耐震性」です。耐震性が不十分な建物では、地震の際に命の危険や多額の修繕費を抱えるリスクがあります。そのため、購入前には「旧耐震」と「新耐震」の違いを理解しておく必要があります。

1981年6月に建築基準法が改正され、それ以前に建てられたマンションは「旧耐震基準」に、以降に建てられたマンションは「新耐震基準」に則っています。新耐震基準では「震度6強〜7の地震でも倒壊しない」構造が求められており、旧耐震のマンションとは安全性に大きな違いがあります。

たとえば、築45年のマンションと築35年のマンションがあった場合、前者は旧耐震、後者は新耐震である可能性が高く、安全性においては築年数よりも「基準の違い」が明暗を分けるのです。

旧耐震の建物でも、耐震補強工事を済ませている場合や、耐震診断を受けて安全性が証明されている場合は安心材料になります。しかし、これらの対応がなされていない物件は、住宅ローンの審査や保険加入の際に問題となるケースもあるため、慎重に検討する必要があります。

耐震性は「見た目」では判断できません。図面や設計書、管理組合からの情報提供を通じて、しっかりと確認することが大切です。地震の多い日本において、「耐震性の確認」は購入判断の大前提といえるでしょう。

築40年以上のマンションの耐震性に注意

築40年を超えるマンションの購入を検討している場合、耐震性に関しては特に慎重なチェックが必要です。この年代の物件の多くは旧耐震基準で建築されており、十分な耐震補強が施されていないケースも多く存在します。

築40年以上の物件は、1970年代前後に建てられたものが多く、そもそも耐震性に関する設計基準自体が現代とは大きく異なります。大地震が頻発する現在の日本では、こうした古い基準のままでは倒壊や大規模損壊のリスクが高く、安心して長く住み続けることは難しいとされています。

たとえば、過去の大地震(阪神・淡路大震災や熊本地震など)においても、倒壊・大破した建物の多くは旧耐震基準の建物でした。耐震補強工事がされていれば問題はありませんが、築古物件では資金的な問題などから対応が後回しにされているケースも多く、建物全体の安全性に疑問が残る場合があります。

また、こうした築古マンションは、金融機関によっては住宅ローンの融資条件が厳しくなる場合もあります。「耐震性が不十分=リスクが高い」と判断され、ローン審査で落とされる可能性もあるため、資金計画にも影響を与えます。

購入を検討する際には、建物が耐震診断を受けているか、診断結果に基づいた補強工事が実施されているかを確認しましょう。マンション全体の問題であるため、個人の判断だけでなく、管理組合の姿勢も大切なチェックポイントになります。

耐震性の確保は、安全・安心な暮らしの前提です。価格が安いという理由だけで築40年以上の物件を選ぶのではなく、その背後にある「見えないリスク」にもしっかり目を向けましょう。

中古マンションの寿命と築年数の限界

物理的寿命は100年超も可能

中古マンションは「築年数が古い=もう住めない」という誤解を受けやすいですが、実は正しいメンテナンスが施されていれば、建物の物理的な寿命は100年を超えることもあります。これは近年の建築技術の向上や材料の高性能化、修繕技術の進歩によって実現可能になっています。

たとえば、鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は、構造上100年以上持つポテンシャルを持っているといわれています。特に、配管や防水といった「寿命の短い部分」が適切に交換・修繕されている場合、見た目以上に長く健全な状態が保たれていることも多いのです。

ただし、長寿命であることと「安心して住み続けられること」は別問題です。共用部分の修繕や管理が不十分であれば、構造が健全でも住みづらくなるケースがあります。つまり、建物自体の性能だけでなく、「どのように維持管理されてきたか」が寿命を左右する鍵なのです。

そのため、築年数だけで購入を避けるのではなく、修繕履歴や管理組合の対応状況まで確認したうえで、「このマンションはあと何十年住めるのか?」を見極めることが重要です。

建て替えまでの平均期間は約40年

マンションの建て替えは、そう簡単に実行できるものではありません。実際には建物の老朽化、住民の合意形成、費用負担など、さまざまな要素が絡み合うため、日本では建て替えの平均期間はおよそ40年とされています。つまり、多くのマンションが築40年を過ぎると、建て替えの議論が本格化するのです。

建て替えが検討される背景には、耐震性の問題、配管や構造材の老朽化、資産価値の低下などがあります。しかし、実際に建て替えを進めるためには、住民の8割以上の賛成や膨大な資金が必要となり、なかなか実現には至りません。

そのため、築40年を超える物件を購入する際には「このマンションは将来的に建て替えが進む可能性があるか」「現状のまま長く住める環境か」を見極める必要があります。建て替えの予定があるマンションを購入すれば、将来的に新築のような住まいを手に入れる可能性もありますが、一方で建て替え費用や仮住まいの手配など、予期せぬ負担も発生します。

また、建て替えが進まないまま老朽化が進むと、資産価値の大幅な下落や、居住の安全性に不安が生じることもあるため、購入判断は慎重に行うべきです。

築40年前後の中古マンションを検討する際は、価格の安さだけに注目せず、「この物件は何年後まで安心して住めるか」「建て替えや大規模修繕の計画はどうなっているか」という視点から見極めることが求められます。

 

 

築古マンション購入時の住宅ローンの注意点

築25年以上は住宅ローン控除対象外になることも

築年数の古いマンションを購入する際、思わぬ落とし穴となるのが「住宅ローン控除の対象外」になる可能性です。特に築25年以上の物件については、建築基準法上の耐震性能が一定条件を満たさなければ、住宅ローン控除が受けられない場合があります。

住宅ローン控除とは、一定の条件を満たす住宅ローンを組んだ場合に、所得税や住民税の一部が還付される制度です。多くの購入者にとっては、10年間で数十万円〜数百万円規模の還付が受けられる非常にメリットの大きい制度となっています。

しかし、この制度を利用するためには、建物が新耐震基準を満たしているか、またはそれと同等の耐震性能を証明できる必要があります。築25年を超える物件の多くは旧耐震基準で建てられており、必要な証明書類が揃わない限り、控除の対象外になる可能性があるのです。

たとえば、築28年のマンションを購入しようとしていたある購入者は、売買契約後に「住宅ローン控除が使えない」と判明し、想定していた返済計画が狂ってしまったというケースもあります。こうした事態を避けるためには、購入前に「耐震基準適合証明書」の取得可否を不動産会社に確認することが非常に重要です。

築古マンションでも、管理組合によって耐震診断が実施され、補強工事が行われているケースもあります。そのような物件であれば、控除を受けることが可能になる場合もあるため、物件選びの段階で「書類が整っているか」「対応履歴があるか」を確認しましょう。

返済期間や借入金額の制限が出る場合もある

築年数の古いマンションを購入する際には、住宅ローンの審査や融資条件が新築や築浅の物件と異なることが多く、特に返済期間や借入金額に制限がかかることがあります。これは、建物の残存耐用年数が少ないと評価され、担保価値が低く見積もられるためです。

一般的に、住宅ローンの返済期間は最長で35年とされていますが、築30年を超える物件では、建物の法定耐用年数との兼ね合いから、返済期間が15〜20年に短縮されるケースがあります。その結果、月々の返済額が大きくなり、家計に負担がかかってしまうこともあります。

さらに、融資可能額も減額されることがあります。金融機関によっては、担保評価額に基づいて借入上限が定められているため、築古物件は評価が低くなりやすく、思ったよりも借りられないという事態に直面することもあります。

例えば、築35年のマンションを2,000万円で購入しようとしたところ、金融機関の担保評価額が1,500万円となり、自己資金で500万円以上を補填しなければならなかったというケースも報告されています。

このようなリスクを回避するためには、物件の築年数に対してどのような評価をする金融機関を選ぶかが重要です。銀行によっては「マンションの管理状態」や「耐震補強の有無」を評価に加味してくれるところもありますので、複数の金融機関で事前審査を受け、条件を比較して選ぶことが推奨されます。

築古マンションを検討する際には、物件の価格や状態だけでなく、「融資条件」という視点からも慎重にシミュレーションを行いましょう。

中古マンションを買うなら築何年か迷ったら修繕・管理状態をチェック

適切な修繕計画が立てられているか

中古マンションの購入を検討するうえで、「築何年か」という数字だけで判断するのは危険です。なぜなら、築年数が同じであっても、修繕計画の有無やその内容によって、建物のコンディションや将来的な維持費に大きな差が出るからです。

多くのマンションでは「長期修繕計画」と呼ばれる、10〜30年単位での修繕スケジュールを作成しています。この計画に沿って、大規模修繕や設備更新を定期的に実施していれば、築30年を超えるマンションでも良好な状態が維持されていることが少なくありません。

例えば、外壁の塗装、屋上防水の張り替え、エレベーターの点検など、目に見える部分も含めて丁寧に管理されている物件であれば、実際の築年数よりも新しく感じられることもあります。一方で、計画が存在しなかったり、資金不足で修繕が後回しになっているマンションでは、老朽化が加速度的に進行し、住みづらくなる可能性が高くなります。

購入時には、不動産会社を通じて「長期修繕計画書」「修繕履歴」「積立金の残高」などを必ず確認しましょう。修繕計画が現実的で、かつ過去の修繕が計画通りに実施されていることがわかれば、今後も安心して住み続けられる可能性が高いです。

共用部の管理状態は良好か

マンションの価値を左右する要素の一つに「共用部の管理状態」があります。外から見える建物の外観だけでなく、エントランス、廊下、ゴミ置き場、駐輪場といった共用スペースが清潔に保たれているかどうかは、管理の良し悪しを映す“鏡”といえるでしょう。

管理が行き届いているマンションでは、来訪者や住人に好印象を与えるだけでなく、長期的に見た資産価値の維持にもつながります。たとえば、築25年のマンションであっても、共用部に清掃が行き届き、掲示物が整然としており、植栽も丁寧に手入れされている物件は、「築古」のイメージを感じさせません。

逆に、築10年程度の比較的新しいマンションでも、共用部の清掃が不十分で掲示物が乱雑な状態であれば、管理組合の機能に疑問を持たざるを得ません。こうしたマンションは、将来的に住民間のトラブルや資産価値の下落を招く可能性があります。

内見時には、部屋の中ばかりを見るのではなく、共用部にも注意を払いましょう。清掃の頻度や管理人の常駐状況、照明の不具合、郵便受けの整理状況など、細かい部分にそのマンションの「姿勢」が現れます。

中古マンションを購入する際、「築年数の数字」だけでなく「管理の質」という“目に見えない価値”に目を向けることが、失敗しない物件選びの鍵になります。

中古マンション買うなら築何年?リノベーションのしやすさも要確認

築20〜30年の物件はリノベ前提で検討されやすい

築20年から30年ほど経過した中古マンションは、価格が手頃である一方、設備や内装の経年劣化が進んでいることが多いため、「リノベーションを前提とした購入」が有力な選択肢となります。実際、こうした築古物件はリノベ前提で流通しているケースが増えており、住まいに個性を求める人々から高い人気を集めています。

築20年を超えると、キッチン・浴室・トイレなどの設備機器が旧式となり、内装も時代遅れになる傾向があります。これらを一新することで、最新のトレンドや自分のライフスタイルに合わせた空間をつくることができるのです。さらに、物件価格が抑えられている分、浮いた予算をリノベ費用に回せるという利点もあります。

たとえば、築28年の中古マンションを1,500万円で購入し、リノベ費用に700万円をかけてフルリノベーションした場合でも、総額は2,200万円程度。同じエリアで新築を買おうとすれば3,000万円以上するケースもあるため、コスト面でも非常に合理的です。

一方で、リノベ前提で購入する場合には、建物の構造や管理状況の確認が欠かせません。たとえば、構造上壊せない壁が多い「壁式構造」では、希望の間取り変更ができない場合もあります。また、共用部の老朽化や修繕積立金不足などがあると、将来的に追加費用が発生するリスクもあります。

築20〜30年の物件は、自由な住空間を創りたい人にとって絶好の素材ですが、「どこまで変えられるか」「どのくらいコストがかかるか」を事前に見極めることが、後悔しないためのポイントとなります。

構造や間取りの自由度に注目

中古マンションをリノベーション前提で購入する際、最も重要な確認ポイントの一つが「構造」と「間取りの自由度」です。どれだけ理想の住空間を思い描いても、建物の構造によっては変更が難しい場合があるため、事前にしっかりとチェックする必要があります。

マンションの構造には大きく分けて「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があります。ラーメン構造は柱と梁で建物を支える方式で、間仕切り壁の移動や撤去が比較的自由にできるため、間取り変更の自由度が高いのが特徴です。一方、壁式構造では壁そのものが建物の荷重を支えているため、撤去できない壁が多く、大規模な間取り変更には不向きです。

また、天井高や梁の位置も間取り設計に影響を与える要素です。低い天井や大きな梁がある場合、照明やエアコンの設置場所に制約が出たり、開放感のある空間づくりが難しくなることもあります。

さらに、水回りの移動が可能かどうかも重要です。排水管の勾配や配管スペースの制限により、キッチンやバスルームの位置を大きく変えることができないケースもあるため、設計段階での確認が欠かせません。

こうした構造的な制限を把握した上で設計を進めれば、予算内で理想のリノベーションを実現することが可能になります。中古マンションを買うなら、築年数と合わせて「構造の柔軟性」にも目を向け、自分の希望するライフスタイルを実現できるかどうかを冷静に見極めることが重要です。

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